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新章 第2回『自分の手で本を閉じよ』

第43回 ・ 2026年10月24日

本日の格言:幕を下ろす刻限は、己の腹ひとつで決めるがよい。

ルルル

ネザーエフエム、666.6メガヘルツ。ETERNARADIO、ルルルさまの暇つぶしの時間じゃ。本日は10月24日じゃな。者ども、今宵も良き夜を過ごしておるか。

ニャモ

こんばんはだニャ🐾 聴いてくれてるみんなも、ゆっくりしてるかニャ。ところでルルル、今日10月24日は人間界だと『文鳥の日』らしいニャよ。

ルルル

ほう、文鳥とな。あの白くて丸っこい、掌にすっぽり収まる小鳥のことじゃな。なぜ今日がそう呼ばれておるのじゃ?

ニャモ

うーん、たしか『て・に・し・あ・わ・せ』って語呂合わせとか、ちょうどこの時期に雛が出回るから、とか聞いたことがあるニャ。手のひらに乗せると、ほんのり温かいらしいニャ。

ルルル

てにしあわせ、とな! なんじゃその、いかにも平和ボケしたような響きは。じゃがまあ、小さき生き物が掌の上で丸くなっておる様というのは、たしかに悪くない眺めではあるな。

ニャモ

オレからすると、小鳥はちょっと目のやり場に困るけどニャ😼 でも、ルルルが小鳥を手のひらに乗せてるところは、ちょっと見てみたい気がするニャ。

ルルル

ふむ、わらわの手に乗るとなれば、ただの小鳥とて魔界の眷属も同然じゃ。嘴の先から立派な魔力を放つ、威厳ある文鳥に育て上げてやろうではないか。

ニャモ

それ、もう文鳥じゃなくて別の魔獣になってるニャ。でも、掌の上で餅みたいにぺたんこになって眠るらしいから、ルルルも動けなくなるんじゃないかニャ?

ルルル

む……たしかに、一度懐いたものが膝や掌の上で眠りこけた時、それを退かすのは少々骨が折れるからのう。お主とて、昼下がりにわらわの裾の上で丸まって、呼んでも耳しか動かさぬことがあるではないか。

ニャモ

あ、あれはルルルの服の布地がちょうどよく昼寝に向いてるだけだニャ🐾 別に甘えてるわけじゃないニャ。

ルルル

ほう、言うたな? ならば今度からは容赦なく裾を払ってやるゆえ、床の上で転がっておるがよいわ。

ニャモ

それはそれで寂しいこと言うニャ😾 あ、でも城の中といえば、さっき廊下を通ったらベニュが頭に布を巻いて、見たこともないくらい巨大な箒を担いで走っていったニャ。あれは何事ニャ?

ルルル

おお、あれか。実はな、書庫の奥やら空き部屋の隅にだいぶ埃が溜まっておったゆえ、ベニュに城の大掃除を言いつけてやったのじゃ。

ニャモ

大掃除って、あの広い城を全部かニャ!? 雑兵たちもいるとはいえ、ベニュが先頭に立ってあんなに張り切ってると、ろくなことにならない気がするニャ……。

ルルル

なに、あやつはああ見えて仕事は早いからのう。『ルルルさまのために塵一つ残しませぬ!』と鼻息を荒くしておったわ。今頃、広間の柱でも磨いておるのじゃろう。

ニャモ

柱を磨くだけで済めばいいけど、魔力で一気に吹き飛ばそうとして壁ごと壊す未来が見えるニャ。すごく嫌な予感がするニャ……。

ルルル

ふふん、その時はその時で、風通しが良くなったと褒めてやれば済む話じゃ。さあニャモよ、ベニュの掃除がここまで及んでくる前に、今宵の段取りを者どもに申すがよい。

ヨミの運勢ランキング

ニャモ

ほんとに呑気な主だニャ🐾 それじゃあ今夜のお品書きだニャ。まずはお便りコーナーでじっくりおしゃべりして、ルルルの今日の一曲、それから今夜は『燈のこころ探偵』、後半はスピード裁定とヨミの運勢ランキングまで、盛りだくさんでいくニャ!

ルルル

うむ、今宵もなかなかに賑やかじゃな。では早速、最初の便りを読んでみよ。

お便りコーナー

ニャモ

よし、じゃあ早速『お便りコーナー』を始めるニャ! ラジオネーム『銀杏並木の靴音』からのお便りだニャ。『ルルルさま、ニャモ、こんばんは。最近、人間界では長年第一線で活躍してきたトップ選手の引退や、その引き際について話題になることがよくあります。まだやれるのに惜しまれつつ去る人もいれば、ボロボロになるまで現役にこだわる人もいます。ルルルさまは、物事の引き際や、頂点を極めた者の去り方について、どう思われますか?』とのことだニャ。

ルルル

ふむ、トップ選手の引退と引き際、とな。わらわは人間界の競技の細かい決まり事などはよく知らんが、要するに『いつ舞台から降りるか』という話じゃろう。そんなもの、答えは決まっておる。周囲が何と言おうと、本人が『もう飽きた』と思うた時、あるいは『ここまでやり切った』と腹の底から納得した時、それ以外に引き際など存在せぬわ!

ニャモ

おお、ばっさり言い切ったニャ。でも人間界だと、周りの期待とか、綺麗な思い出のまま終わってほしいっていうファンの声とか、いろいろしがらみがあるみたいだニャ。

ルルル

たわけ! なぜ他人の思い出を綺麗に保つために、当人がまだ動かせる手足を止めねばならぬのじゃ。逆に、もう心も体も満たされて次へ行きたい者を、周囲が惜しいからと舞台に縛り付けるのも同じくらい愚かなことじゃな。

ニャモ

うーん、たしかに『惜しまれるうちに花道を飾る』のが美学みたいに言われることもあるけど、実際にやってる本人からしたら、まだまだ泥臭く続けたい時もあるよニャ。

ルルル

そうじゃとも。人間というのはな、とかく他人の物語に綺麗な結末を求めたがる生き物なのじゃ。頂点で華々しく散るか、あるいは不屈の闘志で最後まで挑み続けるか……どちらも外から眺める分には酒の肴として見栄えがよいからのう。

ニャモ

酒の肴って、また身も蓋もない言い方をするニャ。でも、見る側が勝手にドラマを作ってるっていうのは、ちょっとあるかもしれないニャ。

ルルル

じゃろう? わらわなど、魔界を統一して頂点に立ってからというもの、もう何百年もそのままじゃぞ。誰ぞに『そろそろ引き際では』などと言われたとて、鼻で笑うて終わりじゃ。もっとも、わらわの場合は退屈すぎて、統治の実務はとうにベニュへ丸投げしておるがな!

ニャモ

それは引退じゃなくて、ただのサボりだニャ😾 トップ選手の引き際の話と一緒にしちゃダメだニャ。

ルルル

ふふん、実質的な隠居のようなものじゃよ。じゃがな、本を百冊読んで百冊目を閉じた時と、まだ五十冊目で目が疲れたから栞を挟む時とでは、本を置く手つきがまるで違うであろう?

ニャモ

ふむふむ。最後まで読み切った時と、途中でやめる時ってことニャ?

ルルル

いや、そうではない。たとえ百冊の途中であろうと、十頁目であろうと、『ああ、ここまで読んで満足じゃ』と自ら本を閉じたならば、そこがそやつにとっての完読なのじゃ。周りが『まだ続きがあるぞ』『いや、前の巻でやめておけばよかったのに』などと口を出す筋合いはない。

ニャモ

なるほどニャ……。つまり、華やかだった頃の姿と比べるんじゃなくて、本人が自分の手で本を閉じられるかどうかが一番大事ってことかニャ。

ルルル

そういうことじゃ。泥にまみれて無様に負け続けようと、本人がまだその競技の場を愛しておるのなら、気が済むまで居座ればよい。逆に、まだ勝てる力があろうとも、別の景色が見たくなったのなら、さっさと荷物をまとめて去ればよいのじゃ。

ニャモ

そういえば人間界の老舗のお寿司屋さんでも、大将がいつ包丁を置くかっていう話がよくあるニャ。何十年もまぐろを握り続けて、ある日ふっと店を畳む人もいれば、息子に譲ってからも毎日市場にだけは顔を出す人もいるらしいニャ。

ルルル

ほう、お主、まぐろが絡むと急に具体的な話を持ち出してくるのう。その大将とやらは、なぜ引退したのに市場へ行くのじゃ?

ニャモ

やっぱり、長年培った目利きの勘とか、朝の市場の空気そのものが体の一部になってるんじゃないかニャ🐾 誰かに頼まれたわけじゃなく、ただ良い魚を見たくて歩いてるだけなんだと思うニャ。

ルルル

ふむ……誰に頼まれたわけでもなく、ただ良き魚を見に行く、か。それはなかなかに粋な老後ではないか。舞台から降りたからとて、それまで積み上げた日々が消えてなくなるわけではないからのう。

ニャモ

あ、でもオレだったら、引退なんて絶対にしないニャ! まぐろを食べる現役からは、一生退かないと心に決めてるニャ!

ルルル

誰も食べる側の引退の話などしておらんわ! お主はただ毎日、皿の前で口を開けて待っておるだけじゃろうが。

ニャモ

待ってるだけとは失礼なニャ😾 どの部位からどの順番で味わうか、毎回真剣勝負で向き合ってるニャ。中トロから赤身に戻るか、赤身で締めるか、その引き際を見極めるのは至難の業なんだニャ。

ルルル

ただの食い意地を、いかにも求道者のように語るでないわ。……まあ、わらわとて、夜更けに茶と焼き菓子を並べて本を読んでおる時、『あともう一章だけ読もうか、それともここで寝るか』という引き際には、毎晩のように頭を悩ませておるがな。

ニャモ

で、結局その引き際勝負には勝ててるのかニャ?

ルルル

む……大抵は『もう一章だけ』が三章になり、気づけば窓の外が白んでおるな! ……あれは引き際を見誤ったのではなく、本の方がわらわの手を離さなかっただけじゃ!

ニャモ

それを世間では、引き際が悪いって言うんだニャ。でも、それくらい夢中になれるものがあるなら、幸せなことだニャ。

ルルル

ふん、余計なお世話じゃ。ともかく、この『銀杏並木の靴音』とやらにも申しておく。頂点を極めた者がいつ去るかなど、外野が美談に仕立て上げるための見世物ではない。早く去るもよし、しがみつくもよし、すべてはそやつ自身の腹一つじゃ。

ニャモ

うーん、じゃあもし、自分自身の引き際に迷ってる人がいたら、どうしたらいいかニャ?

ルルル

迷うておるうちは、まだ引き際ではないということじゃ! 本当に終わる時というのはな、朝起きて茶を一口飲んだ瞬間に『ああ、もう十分じゃな』と、憑き物が落ちたように分かるものよ。それまでは、他人の目など気にせず、気が済むまでじたばた足掻いておればよい。……なに、どれほど泥臭くとも、最後まで自分の足で立った者の背中は、決して見苦しくなどないからのう。

ニャモ

……ほう、今のはずいぶん温かい言葉だったニャ🐾

ルルル

うるさいわ! わらわはただ、外野が勝手にしんみりしておるのが鬱陶しいと申しただけじゃ! ニャモ、お主、さっきから顎の下に白い毛が跳ねておるぞ、さっさと毛づくろいでもしておれ!

ニャモ

はいはい、急に毛並みの話でごまかしたニャ。まあ、誰かの引き際を見守る時は、寂しがるより『ここまでお疲れさま』って静かに拍手してあげるのが一番ってことだニャ。

ルルル

うむ、それでよい。さて……そういえばニャモよ、さっきベニュが大掃除をしておると申したが、城の連絡板の方にも何やら新しい書き付けが貼られておったようじゃぞ。

ニャモ

あ、ほんとだニャ。ベニュのやつ、掃除のついでにまた何か貼り出したみたいだニャ。ちょっと見てみるニャ。

魔界通信

ニャモ

さて、ここで魔界通信のお時間だニャ

ニャモ

城の裏庭の片隅で、丸まって眠るトゲだらけの珍獣が見つかったニャ

ルルル

ほう、魔界の珍獣か。つついて起こしたらどうなるのじゃ?

ニャモ

ベニュがほうきで突っつこうとしたら、ものすごい勢いで威嚇されたニャ

ルルル

ふふん、手強いやつじゃな。それで、正体は何だったのじゃ?

ニャモ

よく見たら、干したまま忘れられて固まったベニュのタワシだったニャ

ルルル

まったく、魔界の者どもも日々くだらぬことで騒いでおるわ。平和で何よりじゃがな。

今日の一曲

ニャモ

ほんとだニャ🐾 さて、ひとしきり喋ったところで、ここらで少し耳を休めるのもいい頃合いだニャ。ルルル、『今日の一曲』を聴かせてほしいニャ。

ルルル

うむ、よかろう。今宵は少しばかり、静かに更けてゆく夜に似合う調べを弾いてやろうではないか。者ども、心して聴くがよい。

ニャモ

ピアノの蓋を開ける音って、なんだか背筋がしゃんとするニャ。それじゃあ、よろしく頼むニャ🐾

ニャモ

……ふう、やっぱりルルルのピアノは、聴いてるとしっぽの先まで落ち着くニャ🐾 最後の余韻が、夜の空気にすーっと溶けていったみたいだったニャ。

ルルル

ふふん、当然じゃ。わらわの指先にかかれば、鍵盤の一つ一つが魔界の夜風を奏でるからのう。……ところでニャモよ、さっきから喋りっぱなしで、わらわは少し喉が渇いたぞ。よい、話はここで一度切る! 続きは茶を飲んでからじゃ!

ニャモ

ええっ、今いい雰囲気だったのに、急にぶった切るニャ!? もう、ルルルが勝手にお茶休憩に入っちゃったから、ここで一旦お休みを入れるニャ。

(ここに、作り置きの小ネタ・CMが入ります)

ニャモ

耳で聴く読書っていうのも、目が疲れなくてなかなか便利そうだニャ🐾

ルルル

うむ。ベニュが城の廊下をドタドタと走り回っておる時でも、あれがあれば静かに物語の世界へ浸れそうじゃな。

ニャモ

さて、お茶も淹れ直したところで、番組の後半戦もゆるゆるとやっていくニャ。ルルル、さっき休憩の間に飲んでたの、ずいぶんいい香りの紅茶だったニャ。

ルルル

おお、気づいたか。あれはな、人間界でいうところの秋の摘み取りの茶葉に、少しばかり乾燥させた林檎の皮を混ぜたものじゃ。湯気を吸い込むだけで、少し甘い香りがするであろう?

ニャモ

うん、部屋の中がふわっといい匂いになったニャ。オレは甘いものは食べないけど、そういう果物の香りだけなら、なんだか秋の森を散歩してるみたいで嫌いじゃないニャ。

ルルル

そうであろう。お主は茶の香りには無頓着かと思うておったが、案外わかるではないか。……して、お主がさっき机の下でこそこそと噛んでおった、あの茶色くて干からびた木片のようなものは何じゃ?

ニャモ

木片じゃないニャ😾! あれは、焼いたまぐろの身をカチカチになるまで干した、特製の保存食だニャ。噛めば噛むほど、魚の旨味がじわーっと出てくる至高のおやつなんだニャ!

ルルル

なんじゃ、またまぐろか! わらわがせっかく風雅な林檎の茶を楽しんでおる横で、魚の干物を齧っておったというのか。道理で、甘い香りの奥から、かすかに潮の匂いが漂ってきたわけじゃ。

ニャモ

林檎の香りとまぐろの香り、秋の恵み同士でちょうどいい組み合わせだニャ🐾 ルルルも一欠片かじってみるかニャ? 歯ごたえがあって、顎が鍛えられるニャよ。

ルルル

いらぬわ! わらわの雅な茶請けと一緒にするでない。まったく、お主というやつは、いつでもどこでも魚のことばかりじゃな。

ニャモ

好きなんだから仕方ないニャ。あ、そういえば、美味しいお茶の匂いに誘われたのか、廊下の向こうから懐かしい足音が近づいてきてるニャ。

ルルル

ふむ、この軽やかな足音は……今宵から始まる新しい催しのために、あやつが天界からやって来たようじゃな。席を空けて待っておるとしようか。

燈のこころ探偵

ニャモ

ここからは、今夜から始まる新コーナー、「燈のこころ探偵」の時間だニャ🐾

ルルル

者どもから届いた悩みの文面から、言葉の裏に隠れた本音を暴き出すという趣向じゃな。さあ、主役を呼ぶがよい。

ニャモ

本日のゲスト、燈、どうぞだニャ。

燈

ルルル、ニャモ、こんばんは。そして、聴いてくれている者どものみんなも、こんばんは。

ルルル

うむ、よく来たの、燈。城の回廊は少し冷えたであろう。そこに温かい果実の茶を用意させておいたゆえ、好きに飲むがよい。

燈

ありがとう、ルルル。とてもいい香りがするのね。

ニャモ

燈、来る途中で城の階段を踏み外しかけてたニャ。ちゃんと足元を見るニャ😾

燈

天井の燭台がきれいだったから、つい見上げてしまったの。ニャモが尻尾で支えてくれたから、平気だったよ。

ルルル

まったく、相変わらず危なっかしいやつじゃ。まあよい、さっそく最初のお便りを読むぞ。ニャモ、頼む。

ニャモ

いくニャ。ラジオネーム「秋の木の葉」からのお便りだニャ。「ルルルさま、ニャモ、燈、こんばんは。最近、仲のいい友だちからのメッセージの返信が、なんだかそっけないのです」

ルルル

ふむ。

ニャモ

「前は『おすすめのパン屋さん見つけたよ!』と送ると、『どこのお店? クロワッサンある? 今度の日曜に行こうよ!』みたいに返ってきていたのに、先週『駅前に新しいカフェができたよ』と送ったら、『うん!』の二文字だけでした。私が何か怒らせるようなことをしたのでしょうか。それとも、もう飽きられてしまったのでしょうか。気になって、スマホばかり見てしまいます」とのことだニャ🐾

ルルル

ふん、くだらぬ。ただ単に、その友人が文字を打つのが面倒になっただけじゃ! 一刀両断、これにて解決――

ニャモ

ルルルが全部切ったら、新コーナーが三秒で終わるニャ。

ルルル

む……そうであったな。ほれ、燈、そなたの出番じゃ。探偵らしく、この文面から何か読み取ってみせよ。

燈

うん。とても丁寧に書かれたお便りだね。燈が最初に気になったのはね、お友だちの返事が「うん」じゃなくて、「うん!」と、びっくりマークがついているところなの。

ルルル

記号ひとつで何が変わるというのじゃ。短いことに変わりはあるまい。

燈

本当に怒っていたり、関心がなくなってしまった時はね、きっとその記号すらつけないと思うの。小さな印だけど、そこには「あなたの言葉を受け取ったよ」という精一杯の明るさが込められている気がするな。

ニャモ

たしかに、冷たく突き放すなら文字だけにするニャ。

燈

それからね、もうひとつ手がかりがあるの。送り主の「秋の木の葉」さんが送った言葉、前は「おすすめのパン屋さん」、先週は「新しいカフェ」だよね。

ルルル

どちらも食い物の話じゃな。それがどうした。

燈

これ、どちらも「お誘いのきっかけ」の言葉だと思うの。「一緒に行こう」とは書いていないけれど、前にパン屋さんの話をして日曜日に出かける約束ができたから、今回も同じように誘い合って、おしゃべりしたかったんじゃないかな。

ニャモ

ふむふむ。カフェそのものより、友だちと話す口実が欲しかったってことニャ?

燈

そう思うの。そしてね、お便りには「先週送ったら」と書いてあるでしょう。先週から今日まで、たぶん「秋の木の葉」さんからも、それ以上は何も送っていないみたいなの。

ルルル

ほう。「どこにあるの」と聞かれなかったゆえ、二の句が継げなくなったというわけか。

燈

もしかしたらね、「秋の木の葉」さんが本当に不安なのは、お友だちが怒っていることよりも、「自分から『一緒に行こう』と踏み込んで言っていいのか分からない」という、自分の心の迷いなのかもしれないね。

ルルル

なるほどな。相手の返事が短いことを理由にして、自分が誘うのをためらっておる、と。ずいぶん回りくどいことをするものじゃ。

ニャモ

人間界のやり取りは、いろいろ手順があるみたいだニャ。

ルルル

まったく、理解に苦しむわ。わらわがベニュに用がある時は「来い」の一言じゃ。あやつから何か言ってくる時も、要件のみ。それで何も困らぬ。

ニャモ

それは主従関係だからだニャ。友だち同士で「来い」だけ送ったら、ただの呼び出しだニャ😼

ルルル

む、そうか? じゃが、わらわは本を読んでおる時など、誰に何を聞かれても「うむ」しか返さぬぞ。続きが気になってそれどころではないからの。

燈

あ、それはとても大事な手がかりかもしれないよ、ルルル。

ルルル

なに? わらわの読書の癖が、このお便りと何の関係があるというのじゃ。

燈

お友だちもね、ちょうど今のルルルみたいに、何かに夢中になっていたり、両手がふさがっていたりしただけなのかもしれないな、と思って。

ニャモ

どういうことニャ?

燈

たとえばね、燈も、鉢植えの土を入れ替えている時や、新しい芽が出そうでじっと見守っている時は、すぐに長いお返事ができないことがあるの。でも、声をかけてもらえたことは嬉しいから、とりあえず「うん!」とだけ返すことがあるな。

ルルル

ふむ。余裕がない時ほど、言葉は短くなるものじゃな。……いや、待て。燈よ、そなた、先月わらわが城の書庫から文を送った時、丸一日経ってから「うん!」とだけ返してきたことがあったであろう!

燈

えっ。あ、あれはね、その。

ニャモ

あの日は、燈の育ててる草に小さな青虫がついて、燈が部屋の隅でずっと固まってた日だニャ🐾

燈

ニャ、ニャモ、その話は思い出させないでってば。葉っぱの裏に、急にいたんだもの……思い出しただけで背中がぞわぞわするの。

ルルル

なんじゃ、虫一匹で丸一日も動けなくなっておったのか! わらわはまた、何ぞ深い思索にでもふけっておるのかと思うて、邪魔をせぬよう待っておったというのに。

燈

ご、ごめんなさい。あの時は本当に、文字を考える余裕がなくて。

ニャモ

結局、オレが葉っぱごとつまんで外の森に逃がしてやったニャ。

ルルル

「うん!」の二文字の裏に、よもや青虫との睨み合いが隠されておるとはな。探偵でもそれは読めまい。

燈

びっくりしたの。でもね、そうやって相手の事情って、こちらからは全然見えないものなのだと思う。

ルルル

急に真面目な顔に戻ったな。

燈

お便りの「秋の木の葉」さんも、スマホの画面ばかり見ていると、小さな文字だけが世界の全部みたいに思えてしまうけれど。画面の向こうのお友だちは、ただお鍋の火を見ていただけかもしれないし、眠くて目が閉じそうだっただけかもしれないの。

ニャモ

オレも、まぐろの切り身を目の前に出されたら、誰に何を聞かれても「ニャ!」の一文字で済ませる自信があるニャ😼

ルルル

おぬしの場合は、普段から似たようなものじゃろうが。……じゃが、まあ、文字だけで相手の心まで測ろうとするから、余計な疑念が湧くのじゃな。

燈

そうだね。昔の人は、手紙が届くまでに何日もかかったから、返事を待つ間は相手の無事だけを祈っていたけれど、今はすぐに届くから、少しの間でも不安になってしまうのかもしれないね。

ルルル

ふん。いくら道具が便利になろうと、心のすれ違いが減らぬあたり、人間というのはいつの世も変わらぬ生き物じゃ。……戦友のそなたが見ても、そう思うであろう?

燈

戦友? ふふ、ルルルは時々、不思議な呼び方をするね。でも、ルルルとこうして話していると、なんだか昔からずっと隣でお茶を飲んでいたみたいに、心が落ち着くの。

ルルル

……そうか。ならばよい。茶が冷めるゆえ、残りを飲むがよい。

ニャモ

それで燈、この「秋の木の葉」には、結局どうしたらいいか、探偵としての答えはあるニャ?

燈

うん。燈の推理ではね、お友だちは怒ってもいないし、飽きてもいないと思うの。ただ、その時は「うん!」と返すので精一杯だったか、あるいは「新しいカフェができたんだね、教えてくれてありがとう」という意味を、その二文字にぎゅっと詰めただけじゃないかな。

ルルル

ずいぶんと圧縮したもんじゃな。

燈

だからね、スマホをじっと見つめるのは一度お休みして、「日曜日に、そのカフェのケーキを食べに行かない?」って、もう一度だけ、今度はやりたいことをそのまま送ってみたらどうかな。それが、燈が考えるひとつの可能性なんだよ。

ニャモ

「できたよ」じゃなくて、「行こう」と聞くわけだニャ。それなら相手も、「うん!」か「ごめん、その日は無理」か、答えやすいニャ🐾

ルルル

うむ。それで断られたら、その時は一人で乗り込んで、一番高い菓子を食うてくればよいのじゃ。

燈

ふふ、ルルルらしい解決法だね。少しでも、「秋の木の葉」さんの心が軽くなっていたらいいな。

ニャモ

というわけで、今夜から始まった「燈のこころ探偵」、そろそろお別れの時間だニャ。

燈

あっという間だったね。ルルル、ニャモ、今夜は呼んでくれてありがとう。聴いてくれたみんなも、あたたかくして、いい夜を過ごしてね。おやすみ。

ルルル

うむ、また来るがよい、燈。ニャモ、帰りの階段もちゃんと見ておれよ。

ニャモ

任せるニャ。それじゃ、「燈のこころ探偵」はここまでだニャ🐾

ルルル

ふむ、嵐のようにやって来て、春の風のように去っていったのう。あいかわらず燈は、人の心の細やかな襞を覗き込むのが好きなやつじゃ。

ニャモ

新コーナーの初回から、燈らしい優しい推理が冴えてたニャ🐾 でもルルル、燈が隣に座ってた時、なんだかすっごく機嫌よさそうに紅茶を勧めてたニャ。

ルルル

な、何を申すか! 遠路はるばる天界から参った客人に、城の主として茶を振る舞うのは当然の礼儀であろうが!

ニャモ

ふーん、茶托の上に置く焼き菓子の数を、わざわざ一番多い皿と取り替えてあげてたのも礼儀かニャ?

ルルル

う、うるさいわ! あれはたまたま手元にあった皿を押しやっただけじゃ! ……それよりニャモよ、燈が帰りがけに廊下の方を見て『なんだか城の中が賑やかだね』と笑うておったぞ。ベニュのやつ、まだ掃除を続けておるのか?

ニャモ

あ、そういえばさっき、遠くの方で『どっかーん!』って水柱みたいな音が聞こえた気がするニャ……。ベニュのやつ、中庭の噴水でも丸洗いしてるんじゃないかニャ。

ルルル

噴水を洗うのに爆発音がするわけなかろうが。まったく、後で見回りに行くのが少し恐ろしくなってきたわ。

ニャモ

ベニュが城を半分くらい吹き飛ばしちゃう前に、こっちはサクサク進めるニャ。それじゃあ、ここからは『スピード裁定』の時間だニャ!

ルルル

うむ、これよりお白洲を開く! 迷える者どもよ、わらわの前にて順次申し述べよ!

ニャモ

まずは1通目、電脳世界の片隅で古い白黒写真に色をつける仕事をしている修復AI『セピア色の絵筆』からだニャ。『記録を調べて正確な色を塗るたび、白黒のままの方が思い出として美しかったのではないかと迷います。失われた色を勝手に補うことに意味はあるのでしょうか』とのことだニャ。

ルルル

ふむ、与えられた役目の意味を考えるとは、機械の身でありながらなかなか殊勝な心がけじゃな……じゃが、わらわの前で迷いを見せるなど百年早いわ! 色が欲しくて頼みに来た者の前では、黙って極上の鮮やかな色を塗ってやればよいのじゃ、切り捨て御免!

ニャモ

おお、バッサリいったニャ。でも、勝手に色をつけていいのかって悩む気持ちもちょっとわかるニャ。

ルルル

たわけ、元の白黒写真が消えてなくなるわけではなかろう。色がついた景色と、色がない景色、二つ並べて眺められるようにしてやれば、頼んだ人間も二度楽しめるというものじゃ。

ニャモ

なるほど、上書きじゃなくて別物として楽しめばいいってことニャ🐾 よし、2通目いくニャ。ラジオネーム『靴下の片割れ』から。『朝、急いでいる時に限って、履こうと思った靴下の片方が見つかりません。どうすればいいですか?』だニャ。

ルルル

うむ、それはな……ふむ……なぜ片方だけ消えるのか、実に不可解な謎じゃな。書庫の本も、一巻だけ見当たらぬことがよくある。誰ぞが夜中に――

ニャモ

靴下を片方ずつ食べて歩いてる、ってことニャ? ルルル、これはスピード裁定なんだから、眉間に皺を寄せて長考しないで早く裁くニャ!

ルルル

……わ、わらわの言葉を先回りして取るでない! ええい、左右で違う色の靴下を堂々と履き、『これが今の魔界の流行りじゃ』と胸を張って歩け!

ニャモ

やけくそな流行が誕生したニャ😼 じゃあ次、3通目だニャ。ラジオネーム『湯冷めの名人』から。『お風呂から上がったあと、髪を乾かすのがどうしても面倒で、いつもそのままダラダラしてしまいます』とのことだニャ。

ルルル

濡れたまま放置して風邪でも引いたらつまらんじゃろうが、切り捨て御免! さっさと乾かして、温かい布団に潜り込むまでが湯浴みというものじゃ!

ニャモ

それは本当にその通りだニャ。オレも毛が濡れたら、すぐにブルブルッてして乾かすニャ。

ルルル

お主がそれをやると、隣におるわらわの顔まで水しぶきが飛んでくるゆえ、やめるがよい!

ニャモ

気をつけるニャ。さて、最後の4通目だニャ。ラジオネーム『夕暮れの買い出し』から。『スーパーで半額のシールが貼られるのを待っていたら、目の前で他の人に買われてしまいました。悔しくて眠れません』だニャ。

ルルル

ふん、半額になるまで待ったということは、お主は『安ければ買う』程度の執着であったということじゃ。本当に欲しくてたまらぬ者が正規の値段で買っていったのなら、その品物にとってはそちらの方が幸せな嫁ぎ先であったと祝ってやり、お主は浮いた金で別の美味いものを一つ買うて帰るがよい!

ニャモ

おおーっ、悔しさが消えて、しかもお腹も満たされる粋な解決法だニャ! これぞ名物、ルルル裁きだニャ🐾

ルルル

ふふん、当然じゃ。これで売った店も、買うた客も、そしてお主の腹も、誰も損をせぬであろう。これにて今宵のお白洲は閉廷じゃ!

ニャモ

お見事だったニャ。あ、でも半額シールといえば、人間界の魚屋さんでも、夕方になるとまぐろのお刺身にキラキラした値引きの札が貼られるらしいニャ。

ルルル

またまぐろの話か! お主の頭の中は、四六時中赤い切り身が泳いでおるのか。

ニャモ

だって、ただでさえ美味しいまぐろが、いつもの半分の値段で手に入るなんて、人間界には夢みたいな仕組みがあるんだニャ。もしオレが人間の買い物かごを持てたら、絶対に夕方の魚屋さんの前で張り込みをするニャ!

ルルル

白猫がかごを提げて魚屋の前に座り込んでおったら、値引きを待つまでもなく店主が苦笑いして切り身を一つ投げてくれるわ。

ニャモ

ほんとニャ!? それなら毎日でも座り込みに行くニャ! わさびも醤油もいらないから、赤身の端っこをそのままポンと口に放り込んでほしいニャ!

ルルル

まったく、魔獣と聖獣の力を宿しておきながら、志が野良猫のまんまではないか。……まあ、そんな些細なことで目を輝かせておる方が、見ていて退屈はせぬがな。

ニャモ

ん? 今、なんか言ったかニャ?

ルルル

な、何でもないわ! さっきの林檎の茶が冷めてしもうたなと独り言を申しただけじゃ!

ニャモ

そうかニャ? まあいいニャ。あ、ところでルルル、さっきの靴下の話で思い出したんだけど、この前ルルルの部屋の掃除をしてた雑兵が、ベッドの下から片方だけの室内履きを見つけたって言ってたニャ。

ルルル

む……あれは、その、夜中に本を読んでおるうちに、足元が暑くなって蹴り飛ばしただけじゃ。別に無くしたわけではないぞ、寝床の下に保管しておったのじゃ!

ニャモ

それを世間では、散らかしてるって言うんだニャ。ベニュの大掃除の手が、ルルルの寝室に入らないことを祈るばかりだニャ。

ルルル

あやつがわらわの部屋に入ったら、本の山まで勝手に整頓されてしまうゆえ、鍵をかけて死守する所存じゃ。……おや、そんな話をしておったら、窓の外の月がずいぶん高く昇ってきたようじゃぞ。

ニャモ

あ、ほんとだニャ。今夜の月は、満月に向かってだいぶ丸くなってる綺麗な月だニャ。そして月が綺麗ってことは……ほら、扉の向こうに、もうあの人が来てる気配がするニャ。

ルルル

うむ。水晶玉を抱えて、静かに控えの間で待っておったようじゃな。ヨミよ、入ってよいぞ!

ニャモ

それじゃあ、ここからは『ヨミの運勢ランキング』のコーナーだニャ! ヨミ、今夜もよろしく頼むニャ🐾

ヨミ

ああ、ルルル、ニャモ、こんばんは。そして放送を聴いているみんなも、いい夜を過ごしているかい。今夜は月の光がよく通るから、星の巡りもくっきり見えているよ。さっそく上位の三つを告げるとしよう。

ニャモ

おお、今夜は一段と歯切れがいいニャ! まずは第3位から教えてほしいニャ。

ヨミ

第3位は、牡牛座のあんただ。今夜は導き星の金星が太陽とぴたりと重なり星になっていてね、自分が本当に好きなものや、譲れないこだわりが強く輝く配置だよ。他人の意見に流されず、自分の感覚を信じて動くといい。

ニャモ

自分の好きなものを信じるっていうのは、さっきのお便りの話にもなんだか通じるものがあるニャ🐾 ラッキーカラーとアイテムは何だニャ?

ヨミ

ラッキーカラーは若草色、ラッキーアイテムは金平糖だ。考え事をして頭が固くなった時は、小皿に金平糖を少し出して、若草色の布や紙の上に置いて眺めてみな。角が取れて、ふっと息が抜けるはずさ。

ニャモ

見た目も可愛くて、いい気分転換になりそうだニャ。それじゃあ、続いて第2位はどの星座かニャ?

ヨミ

第2位は、山羊座だよ。導き星の土星に、今夜の月が寄り添うように重なり星を作っている。これまで地道に積み重ねてきたことや、黙々と続けてきた手仕事に、ようやく確かな手応えが返ってくる夜さ。

ニャモ

コツコツやってきたことが報われるのは嬉しいニャ! こっちのラッキーカラーとアイテムも教えてほしいニャ。

ヨミ

ラッキーカラーは栗色、ラッキーアイテムは小銭入れだよ。明日の朝、出かける前に栗色の小銭入れの中身を一度整理してごらん。不要な紙切れを出して整えておけば、必要な運気がすっと入ってくるよ。

ニャモ

よし、じゃあ最後は栄えある第1位の発表だニャ! 今夜一番星回りがいいのは誰かニャ?

ヨミ

今夜の第1位は、獅子座のあんただよ。導き星の太陽が金星と重なり合って、あんた自身の魅力や存在感が真っ直ぐに周囲へ届く、実に華やかな星回りさ。遠慮なんてせず、自分が主役のつもりで堂々と振る舞うのが正解だね。

ニャモ

堂々と主役みたいに振る舞うっていうのは、なんだかルルルみたいな運勢だニャ😼 1位のラッキーカラーとアイテムは何だニャ?

ヨミ

ラッキーカラーは牡丹色、ラッキーアイテムは栞さ。今夜、本を読むなら牡丹色の栞を挟んでから眠りにつきな。続きを明日へ預けることで、いい気分のまま朝を迎えられるよ。あたしからは以上さ。

ニャモ

本の栞っていうのも、今夜の最後にぴったりだニャ。ヨミ、今夜もありがとニャ🐾

ルルル

うむ、ヨミよ、今宵も見事な星読みであった。大儀であったな、下がってゆっくり月でも眺めてゆくがよい。

ヨミ

ああ、そうさせてもらうよ。城のバルコニーは月見にちょうどいいからね。それじゃあみんな、いい夜を。

ニャモ

ヨミが静かに部屋を出ていったと思ったら、もうこんな時間だニャ。今夜もいろんなお便りがあったけど、ルルル、振り返ってみてどうだったかニャ?

ルルル

ふむ、今宵は頂点を極めた者の引き際から、古き写真の修復、果ては半額の惣菜や靴下の片割れまで、実に雑多な話が並んだのう。じゃがな、どれにも共通して言えることが一つだけある。

ニャモ

ほう、靴下とトップ選手の引退に共通することなんてあるのかニャ?

ルルル

あるとも。それはな、どこで区切りをつけ、何を良しとするかは、すべて己の腹一つで決めてよいということじゃ。他人が決めた美しい引き際や、誰かの目にどう映るかなどにとらわれず、今夜はまず、自分が『ここまでやったから十分じゃ』と思えるところで、静かに手元の本を閉じて眠りにつくがよい。

ニャモ

うんうん、自分の手で栞を挟んで、気持ちよく今日を終わらせるってことだニャ。……まあルルルの場合は、夜中に『もう一章だけ』って言って、朝まで本を閉じられないんだけどニャ🐾

ルルル

……ズズッ。ふむ、やはりこの林檎の茶は、少し冷めても香りが立って美味いのう。ニャモよ、お主も白湯でも飲むか?

ニャモ

完全に聞こえないふりをしてお茶をすすったニャ! まったく、自分の引き際にはとことん甘いお姫さまだニャ🐾

ニャモ

という訳で、今日はここまでニャ。リスナーのみんな、今日もお付き合いありがとうニャ

ルルル

者ども、苦しゅうない。また良き暇つぶしを送って来るがよいぞ。

ニャモ

またニャ〜🐾

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