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朝のパンと魔界の夜更け

第20回 ・ 2026年9月21日

本日の格言:起きる口実を皿の上に並べているだけじゃ

ルルル

ネザーエフエム、666.6メガヘルツ。ETERNARADIO、ルルルさまの暇つぶしの時間じゃ。本日も城の時計は適当に針を回しておる。人間界の暦では2026.10.14といったところかの。

ニャモ

オレの腹時計はとっくに午後のおやつを要求してるニャ🐾

ルルル

おぬしはさっきから絨毯の端を丸めてばかりでおるな。城の庭の黒い薔薇が、妙な毛虫に花びらを齧られておったぞ。後で見に行って始末してまいれ。

ニャモ

あれは毛虫じゃなくて庭番が落とした苔玉のカスだニャ。オレがもう片付けたニャ。

ルルル

ふん、そうであったか。退屈なやつめ。さて、メインパーソナリティはこの魔界を統べるルルル、おぬしのくだらぬ疑問を切り捨てる役目を担っておる。

ニャモ

サポート役のニャモだニャ。適当に相槌打つから好きに喋るといいニャ🐾

ルルル

誰が好き勝手喋るというか。まあよい、ニャモよ。人間どもから何か退屈しのぎの紙切れは届いておるか。

ニャモ

届いてるニャ。今日はこんなお便りが届いてるニャ。ラジオネーム・二度寝の達人さんからだニャ。『ルルルさま、ニャモさんこんばんは。最近、街の喫茶店でやっているモーニングというものにハマっています。飲み物を頼むだけで分厚いトーストやゆで卵がついてくるのですが、朝からわざわざ外に出てこれを食べる人たちの気持ちが、よくわかるようで不思議でもあります。魔界の朝には何か決まった過ごし方があるのでしょうか』とのことだニャ。

ルルル

……朝、じゃと?

ニャモ

首を傾げすぎだニャ。人間界には太陽が昇る時間があるニャ。

ルルル

よく知らんが、そのもーにんぐとやら、飲み物を頼むと勝手に粉を焼いた塊と鳥の卵がついてくるのか。余計な押し売りではないのかそれは。

ニャモ

おまけでついてくるのが嬉しいんだニャ。朝早く起きたご褒美みたいなものらしいニャ。

ルルル

起きる口実を皿の上に並べているだけじゃな。実にくだらん。

ニャモ

バッサリ切ったニャ。でも朝起きるのは誰だってしんどいニャ。

ルルル

そもそもじゃ、なぜあやつらは日の光とともに目を開けねばならんのだ。魔界を見よ。空はいつ見ても紫と闇の混ざり合っておる色じゃし、いつ寝ていつ起きても誰も文句など言わんぞ。

ニャモ

ルルルさまが勝手に昼まで寝てるだけだニャ。城の連中はちゃんと朝から掃除してるニャ。

ルルル

うるさいわ。わらわの眠りを妨げんように静かに這い回るのが下僕の務めじゃ。だいたい、朝から分厚いパンなぞ腹に詰め込んで、重たくならんのか。

ニャモ

焼きたてのバターがじゅわっとしてると美味いんだニャ。オレはカリカリの魚のほうがいいけどニャ🐾

ルルル

油を吸わせた小麦など、夜更けの紅茶の供に一口つまめば十分じゃ。それをわざわざ外の店まで出向いて、見知らぬ他人の咀嚼音を聞きながら食すなど、正気の沙汰とは思えん。

ニャモ

家で一人で食べるより、あの店のざわざわした空気の中で食べるのがいいらしいニャ。

ルルル

他人の気配がないと一日を始められんのか。まったく、群れたがる生き物は面倒な儀式を好むものよ。卵を剥く殻の音すら気をつかいそうではないか。

ニャモ

ゆで卵の殻、たまに白身ごと持っていかれてボロボロになるニャ。

ルルル

剥くのが下手なだけじゃろそれは。……いや待て、ゆで卵といえば、城の厨房がたまに出すあの黄色い芯のやつ、あれに緑の苦い葉を添えてくるのは解せぬ。ピーマンを細かく刻んで混ぜるなど、暗殺の企てかと疑うぞ。

ニャモ

ただの彩りだニャ。すぐ暗殺に結びつけるのやめるニャ😾

ルルル

苦いものは悪意の味がするのじゃ。話が逸れたわ。そのもーにんぐという儀式じゃがな。

ニャモ

儀式になっちゃったニャ。

ルルル

人間というのは、ただ生きているだけで気が滅入るほどやることが多いのであろう。仕事とやら、他人の機嫌取りとやら。それを始める前に、わざわざ他人に湯を沸かさせ、パンを焼かせ、自分を客としてもてなさせる時間を作っておるのじゃ。

ニャモ

自分をちょっと甘やかす時間ってことかニャ。

ルルル

そうじゃ。誰かに丁重にトーストを差し出されねば、自分の存在を肯定できんのじゃろ。脆いものよのう。魔界の民など、起きた瞬間から他人の足を踏んづけて歩く図々しさを持っておるというのに。

ニャモ

踏まれた方はたまったもんじゃないニャ。人間はもう少し平和に生きたいんだニャ。

ルルル

平和というよりは、単なる言い訳じゃな。『わらわは今、温かい汁と焼いた粉を摂取したから、これから半日くらいは外の世界を許してやろう』と、自分に言い聞かせておるのじゃ。

ニャモ

外の世界を許す、か。なんだか壮大な話になってきたニャ。

ルルル

ふん。だがまあ、そうやって朝一番に小さな餌を自分に与えて機嫌を取れるなら、安上がりな話ではないか。高価な宝石を買い漁るでもなく、他国を滅ぼすでもなく、ただのパンと卵で一日の始まりを乗り切れるのならな。

ニャモ

確かに、それで機嫌よく仕事に行けるなら儲けものだニャ。

ルルル

おぬしも明日から朝早く起きて、わらわにトーストとやらを焼いて持ってまいれ。あ、緑の野菜は一切乗せるなよ。一口でも乗っていたら窓から庭へ放り投げるからの。

ニャモ

オレに注文するなニャ。オレは朝は寝てるニャ🐾

ルルル

まったく役に立たん猫じゃ。……まあ、人間どもが勝手に朝の時間をありがたがって卵を割っておる姿は、想像するとなかなか滑稽で暇つぶしにはなるがな。

ニャモ

明日の朝も、喫茶店は満席かもニャ。

ルルル

勝手に並んでおればよい。わらわは冷めた紅茶でも啜って、二度寝を貪ることにするわ。

ニャモ

いつも通りだニャ。そろそろお時間だニャ。

ルルル

今宵はここまでじゃ。次も良き暇つぶしを送ってくるがよいぞ。

ニャモ

またニャ〜🐾

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