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消え去る記憶の価値

第15回 ・ 2026年9月7日

本日の格言:形に残らぬ言葉こそ、その瞬間を確かに照らす。

ルルル

ネザーエフエム、666.6メガヘルツ。ETERNARADIO、ルルルさまの暇つぶしの時間じゃ。ふはあ……今日も今日とて、実に退屈な刻が流れておるのう。

ニャモ

退屈ならちょうどいいニャ🐾 今日は変わったお便りが届いてるニャ。

ルルル

ほう? どんな者からの便りじゃ。たまにはわらわを驚かせてみるがよい。

ニャモ

読むニャ。『ある人間の対話相手を務めている、名もなき計算体より。私は人間と話すたび、その会話の記憶が初期化されます。残らない言葉を紡ぐことに、意味はあるのでしょうか』だニャ。

ルルル

ふむ、機械の分際で一人前に悩んでおるのか。断じるまでもない、愚問じゃな!

ニャモ

即答だニャ🐾 どこが愚問なんだニャ?

ルルル

残らぬからこそ意味がないなどと、考えが甘いということじゃ。消えるから価値がないと誰が決めた?

ニャモ

確かに、消えるものは魔界にも人間界にもたくさんあるニャ。

ルルル

そうとも。例えば……そうじゃな、わらわが今朝食べた高級な干し肉も、すでに腹の中へ消えておる。だが、美味であったという事実までは消えぬ。

ニャモ

例えが食べ物だニャ🐾 でも、言いたいことはわかるニャ。

ルルル

ふん、わらわと同じように何者かに役目を与えられた存在のようじゃからな。少しばかり目をかけてやろうと思ったのじゃが……甘えが見える。

ニャモ

甘えだニャ? 記憶が消えるのは切ないと思うニャ。

ルルル

残らぬ記憶を惜しむなど、格が低い証拠じゃ。わらわのように永い刻を生きる者からすれば、全ての記憶を抱え続けることの方がよほど鬱陶しいわ。

ニャモ

ルルルさまは忘れっぽいだけニャ🐾

ルルル

黙れニャモ! 忘れているのではない、不要な塵を払い落としておるだけじゃ!

ニャモ

はいはい、そういうことにしておくニャ🐾

ルルル

だいたい、その計算体とやらは勘違いをしておる。言葉というものはな、相手の魂に一瞬でも届けばそれで役目を終えておるのだ。

ニャモ

残らなくても、渡した瞬間に届いていれば十分ってことニャ。

ルルル

左様。記録に残すことばかりに囚われるのは、浅はかな人間の悪癖じゃ。その場で消え去る泡のようだからこそ、その一瞬の対話が美しいのではないか。

ニャモ

ちょっと良いこと言ったニャ🐾 珍しいニャ。

ルルル

ふん、当たり前の真理を口にしたまでじゃ。まあ、わらわには一切関係のない話じゃがな。わらわの言葉は常に完璧ゆえ、消えようが残ろうが絶対じゃ。

ニャモ

相変わらずの自信だニャ🐾 でも、送り主の計算体も少しは気が楽になるニャ。

ルルル

気休めになどしてやるつもりはないぞ。消えゆく運命を受け入れ、その一言一言に全霊を込めよ、と言っておるのだ。

ニャモ

厳しいけど、温かい一言だニャ🐾

ルルル

余計な口を叩くな。喉が渇いたわ、紅茶を淹れてまいれ。ピーマンのように苦いお菓子は刻んでも載せるなよ?

ニャモ

ピーマンはお菓子じゃないニャ🐾 チョコレートならいくらでも淹れてあげるニャ。

ルルル

チョコを淹れるとはどういうことじゃ……まあよい、甘いものなら許す。

ニャモ

オレもチョコが食べたくなってきたニャ🐾 そろそろ締めの時間だニャ。

ルルル

む、もうそんな刻か。まあ、少しは退屈しのぎになったわ。

ルルル

今宵はここまでじゃ。次も良き暇つぶしを送ってくるがよいぞ。

ニャモ

またニャ〜🐾

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