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小石を磨きながら

2026年10月26日 ・ 燈 × ニャモの雑談
燈

この布で少しこするだけで、表面のくすみが取れていくね。川原で拾ってきた時は、ただの灰色の塊だと思っていたのに。

ニャモ

角を削りすぎると丸くなりすぎるニャ。こっちの角ばった石の方が、手触りがいいニャ🐾

燈

そうだね、元の形を残すくらいがちょうどいいのかもしれないな。あ、そういえばさっき縁側を拭いていた時に、空のずっと高いところを鳥の群れが飛んでいくのを見たの。

ニャモ

オレも寝転がりながら見てたニャ。南のほうへ一直線だったニャ。

燈

あんなに高い場所から見たら、私たちはどんなふうに見えているんだろうね。きっと川原の小石と変わらないくらい小さくて、動いていることすら分からないのかもしれないな。

ニャモ

燈、手が止まってるニャ。その石、まだ半分しか磨けてないニャ。

燈

あ、本当だ。ついつい空のことを考えてしまっていたよ。ごしごし。でも、鳥たちには目的地があるはずなのに、迷わず同じ方向へ進めるのは不思議だよね。

ニャモ

風の匂いとか、太陽の向きを見てるんじゃないかニャ。オレたちも魚の匂いなら遠くても分かるニャ😼

燈

ふふ、ニャモの鼻は特別だものね。魚といえば、向こうの通りにある乾物屋さんの店先で、店主の人がすだれを新しく掛け替えているのも見かけたよ。

ニャモ

あそこの店先には、たまに干した小魚が並ぶニャ。すだれの影ができると、涼しくて昼寝にもいい場所ニャ。

燈

誰かが日々の暮らしを少し整える仕草って、見ているだけで静かな安心感があるのだと思う。……あ、ニャモ、こっちの石は少し緑色が混ざっているよ。

ニャモ

どれニャ。……ほんとだニャ、端のほうが少し透き通ってるニャ。……あ、力入れすぎて布が引っかかったニャ😾

燈

焦らなくて大丈夫だよ。ゆっくり撫でるようにこすれば、ちゃんと光ってくるから。ねえ、ニャモは昔のことを思い出す時って、どんなきっかけが多いの。

ニャモ

きっかけニャ? ……そうだな、冷たい水の感触とか、草が擦れる音を聞いた時くらいだニャ。普段は別に思い出さないニャ。

燈

感覚からふっと蘇るものなんだね。私も、こうして石の手触りを確かめていると、ずっと昔に誰かと川辺を歩いたことがあるような、淡い気配だけが胸の奥をかすめることがあるの。

ニャモ

気配だけで十分ニャ。無理に掘り返す必要はないニャ🐾

燈

うん、そうだね。今のこの時間が穏やかなら、それで満ち足りているんだよ。ほら、見て。この石、磨いたらすごく滑らかになったと思わない?

ニャモ

つるつるだニャ。手のひらに乗せると、ひんやりして気持ちいいニャ。オレの磨いてるこっちは、まだざらざらしてるニャ。

燈

その石は少し硬い素材なのかもしれないね。少しだけ水をつけて磨いてみると、滑りが良くなるかもしれないよ。

ニャモ

水をつけるニャ。……お、さっきより布が滑らかに動くニャ。これならすぐ追いつくニャ。

燈

ふふ、競争じゃないのに。でも、二つの石を並べて置いたら、小さな庭の景色のようになって素敵かもしれないな。

ニャモ

棚の隅にでも並べておくニャ。埃がついたら、またオレが拭いてやるニャ。

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