空想の翼と手入れの庭
本日の格言:道具の手入れを怠る者に、真の自由は訪れぬ。
ネザーエフエム、666.6メガヘルツ。ETERNARADIO、ルルルさまの暇つぶしの時間じゃ。本日は10月19日じゃな。
オレたちの時間だニャ🐾 ルルル、さっきから窓の外をじっと見つめて、何をブツブツ言ってたんだニャ?
おお、ニャモか。いやな、もしも城の庭にある巨大な黒薔薇が、一夜にして全部巨大な肉団子になったらどうなるか、と考えておったのじゃ。
……急に何を言い出すかと思えば、相変わらずくだらない空想だニャ。庭番が泣いて逃げ出すニャ。
泣くどころか、肉団子の雨に喜ぶかもしれんぞ? その後、甘辛いタレの池が城門の前に広がるのじゃ。舟を出して掬いに行かねばならぬ。
舟がベタベタになって沈む未来しか見えないニャ。でも、もしも空を飛べる魚が川一面に泳いでたら、捕まえやすくて便利だとは思うニャ。
ほう、お主も乗ってきたではないか。空飛ぶ魚か。それは風の強い日に全部どこかへ吹き飛ばされて、晩飯が抜きになる未来が見えるのう。
うっ、それは困るニャ……やっぱり空想はほどほどにしておくニャ。
ふふん、つまらぬ現実に戻るのが早いのう。まあよい、名乗りとするか。メインパーソナリティはこの魔界を統べる姫、ルルルじゃ。
進行役兼ツッコミ役、白猫のニャモだニャ🐾
今日はお便りコーナーと、今日の一曲、スピード裁定、それにヨミの運勢ランキングもあるニャ。
うむ、今日もたっぷり付き合ってもらうぞ。
お便りコーナー
それじゃ、お便りコーナーの時間だニャ。今日はこんなお便りが届いてるニャ。
魔界の城で働く武具磨き番からだニャ。『ルルルさま、ニャモさん、こんばんは。私は兵たちの槍や鎧を磨く油布を扱っているのですが、長年使い込んで手になじんだ布を、どの段階で新しいものに替えるべきかいつも悩みます。ボロボロになっても愛着があり、手放すのが惜しいのです』とのことニャ。
ふむ……道具への未練か。実にくだらぬところで足を止めておるな。答えは明白、今すぐそのボロ布を暖炉に放り込んで燃やすがよい!
相変わらず極端だニャ。手になじんでるって言ってるのに、いきなり燃やすのかニャ?
当たり前じゃ。手になじんでおるのではない、己の怠惰になじんでおるだけじゃ! 道具とは、目的を果たすためにある。油が染み込みすぎて汚れを吸わなくなった布など、もはや布の形をしたゴミに過ぎん。
ゴミとは手厳しいニャ。でも、職人にとっては長年の相棒みたいなものじゃないのかニャ?
相棒ならば、なおのこと引退の花道を用意してやるのが礼儀というものじゃ。魔界の鍛冶屋を見てみよ。名剣を打つ鎚ほど、摩耗すれば躊躇なく打ち直す。古い形にすがる者は、新しい刃の輝きを曇らせるだけじゃぞ。
道具に情が移りすぎると、本来の仕事がおろそかになるってことかニャ。正論ニャ。
……まあ、その武具磨き番が、槍の一本一本を丁寧に扱っておる証拠ではあるがな。城の兵共の鎧が妙に光っておるのは、こやつの働きゆえか。……ち、違うぞ! 褒めたわけではない! 視界が反射して眩しいと苦情を言いたかっただけじゃ!
……今のは完全に褒めてたニャ😼
だ、黙れ猫! わらわの言葉を勝手に捻じ曲げるでない! とにかくじゃな、愛着と執着を取り違えてはならぬ。本当に仕事を愛しておるなら、新しい布を一から育て上げる手応えをこそ楽しむべきじゃ。
新しい布を育てる、か。それはちょっと職人っぽくて良さそうだニャ。
うむ。使い始めの硬い布が、己の指先の形に沿っていく過程こそが一興よ。今夜できる小さな一歩としては……そうじゃな、新しい布を一枚だけ切り出し、端を縫って手元に置いてみるがよい。古い布は、最後の一拭きに使ってから丁重に礼を言って処分せよ。
一枚だけ準備してみるなら、迷わずできそうだニャ。
ふん、わらわの城の備品を無駄遣いせぬなら、いくらでも布などくれてやるわ。……そういえばニャモ、さっき中庭の掲示板の前に小鬼たちが群がっておったぞ。
おや、何かあったのかニャ?
魔界通信
さて、ここで魔界通信のお時間だニャ
ベニュからの連絡、姫さまの寝相で吹き飛んだ執務室の書類を回収中だニャ
寝相ではないぞ。昨夜は夢の中で巨大な影と戦っておったのじゃ
ベニュは、枕の軌道からしてただの寝返りだと分析していたニャ
む。あやつめ、わらわの華麗な寝技を侮っておるな
天井に刺さった請求書を脚立で取らされて、半泣きだったニャ
……ふう、相変わらず騒々しい掲示板であったな。さて、話を戻すとするか。
今日の一曲
そういえば、そろそろ『今日の一曲』のコーナーだニャ。
うむ。わらわが特別に選んだ優雅な調べを聴かせてやろう。耳をかっぽじって聴くがよい。
はいはい、それじゃあ曲へいくニャ。
ふむ、何度聴いても気品に満ちた旋律じゃな。心が洗われるようじゃ。
スピード裁定
確かにちょっと落ち着く音だったニャ。さて、続いてはスピード裁定だニャ!
人間界のラジオネーム『交差点の信号待ち』から。『人間界ではカローラという車が長年愛され続けていますが、ルルルさまはどう思いますか』とのことニャ。
よく知らんが、何十年も同じ名で走り続けておるなら、余計な飾りを捨てて本質だけを磨いてきた証拠じゃな。飽きられぬことこそ最大の力よ!
地味に見えて実はすごい、ってことだニャ。次いくニャ。ラジオネーム『月夜の散歩道』から。『毎晩、寝る前の読書がつい長引いて夜更かししてしまいます』ニャ。
栞を三頁先に挟んで、そこまで読んだら問答無用で本を閉じよ! 続きが気になるなら夢の中で勝手に続きを紡ぐのじゃ!
夢の中で読書は器用すぎるニャ。次、ラジオネーム『塩むすび職人』から。『朝起きると、どうしても靴下を片方見失います』ニャ。
脱いだ瞬間にもう片方の靴下の中に丸めて突っ込んでおけ! 離れ離れにするから魔界の隙間に吸い込まれるのじゃ!
魔界のせいにされたニャ……。最後、ラジオネーム『銀の匙』から。『新しいペンを買うと、最初の文字を何にしようか迷って書けません』ニャ。
己の最も嫌いな野菜の名をでかでかと書け! 勢いがついて迷いなど一瞬で吹き飛ぶわ!
ピーマンって書くつもりだニャ、ルルル。
わ、わらわの名を勝手に出すでない! ふう、一気に裁いたら喉が渇いてしもうたわ。
じゃあ、ちょっと喉を潤すといいニャ。
(ここに、作り置きの小ネタ・CMが入ります)
耳で聴く読書ってのも、散歩しながら楽しめて便利そうだニャ。
ふん、己の足で歩きながら物語の世界へ浸るか。退屈な移動時間も、悪くはない暇つぶしになりそうじゃな。さて、そろそろあの占い師の出番じゃな。
ヨミの運勢ランキング
次は『ヨミの運勢ランキング』だニャ! ヨミ、よろしくニャ!
はいよ。今宵の星の巡りから、あんたたちの運勢を読み解いてやろうかね。今日の月は水瓶の座に入り、天王星との引き星、そして海王星との結び星が綺麗に出ているよ。
直感やひらめきが冴えそうな配置だニャ。
その通りさ。じゃあ、まずは第3位からいくよ。第3位は天秤座。太陽と金星が重なり星を作っていて、魅力が外へ伝わりやすい日だね。古いしがらみをさらりと流すと吉さ。ラッキーカラーは藤色、ラッキーアイテムは刺繍入りのハンカチだよ。
華やかでいい感じだニャ! 続いて第2位はどこかニャ?
第2位は双子座さ。風の星座同士、水瓶の月と絶妙な調和を描いている。突拍子もない思いつきが思わぬ成果を呼ぶよ。迷ったら面白い方を選びな。ラッキーカラーはレモンイエロー、ラッキーアイテムは新しい手帳さ。
新しい手帳、さっきのお便りにも通じるワクワク感があるニャ! そして気になる第1位は……!?
堂々の第1位は、水瓶座のあんただよ。月が座に入り、変革の星と調和して直感が冴え渡っている。自分のやり方を貫くことで、周囲を巻き込む強い風を起こせるはずさ。ラッキーカラーは群青色、ラッキーアイテムは革のキーホルダーだよ。
水瓶座のみんな、おめでとうニャ! ヨミ、ありがとニャ。
あたしは星の言葉を伝えただけさ。あんたたち、良き夜を過ごしな。
うむ、今日も大儀であった。下がってよいぞ。
そろそろお別れの時間が近づいてきたニャ。今日はどうだったかニャ?
ふむ。油布の替え時も、長く愛される鉄の車も、結局は『日々の手入れと覚悟』に尽きるということじゃな。使い慣れたものに甘えるでもなく、かといって雑に捨てるでもなく、己の足元を支える道具に常に敬意を払うこと。それができぬ者に、良き暇つぶしも、自由な前進もありはせん。
相変わらず偉そうだけど、手入れを怠るなってのは染みるニャ🐾 ルルルも紅茶のカップ、ちゃんと自分で片付けるニャ?
……ふ、聞こえぬな。わらわは今、冷めた紅茶の底に映る月を愛でるのに忙しいのじゃ。
という訳で、今日はここまでニャ。リスナーのみんな、今日もお付き合いありがとうニャ
次も良き暇つぶしを送ってくるがよいぞ。
またニャ〜🐾