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暖炉の灰と古い手紙

第22回 ・ 2026年9月25日

本日の格言:消えぬ炎よりも、残った灰の温もりこそが誠である

ルルル

ネザーエフエム、666.6メガヘルツ。ETERNARADIO、ルルルさまの暇つぶしの時間じゃ。本日は9月25日じゃな。秋風が心地よいはずの夜じゃが、城の広間は相変わらず騒がしいぞ。

ニャモ

広間の大時計、針が逆回転し始めて大騒ぎだったニャ。ルルルが杖で叩いて直してたの、見たニャ🐾

ルルル

あれは叩いて直したのではない、魔力で調律してやったのじゃ。骨董品ほど気まぐれで困るわ。おかげで淹れたての紅茶がすっかり冷めてしもうた。

ニャモ

オレの寝床にしてた絨毯もひっくり返されて迷惑したニャ。……さて、名乗りをいくニャ。

ルルル

うむ。この番組の絶対的支配者でありメインパーソナリティがわらわ、ルルル。そして足元をうろつく毛玉が進行補佐じゃ。

ニャモ

サポート役の白猫ニャモだニャ。今夜もよろしくニャ🐾

ニャモ

では1通目のお便りを紹介するニャ。ラジオネーム・煤まみれの爪さん、魔界の大暖炉の掃除番の方からだニャ。

ルルル

ほう、城の暖炉を任せておる掃除番か。何やら煙たい相談のようじゃな。読んでみよ。

ニャモ

『ルルルさま、ニャモさま、こんばんは。城の大暖炉の灰を掃除するのが私の役目なのですが、時折、完全に燃え尽きずに残った誰かの手紙の切れ端が見つかります。魔界の炎でも焼ききれなかった言葉を、そのまま捨ててよいものか、集めて保管すべきか、いつも箒を止めて迷ってしまいます』とのことだニャ。

ルルル

くだらぬ! 燃え残った紙切れ一枚に何を立ち止まっておるのじゃ。そんなもの、さっさと掻き集めて庭の枯れ木の根元にでも撒いてしまえばよい!

ニャモ

相変わらず容赦ないニャ。でも、魔界の業火で燃え残る手紙って、よっぽど強い念が籠もってそうニャ。

ルルル

念などという曖昧な言葉に惑わされるな。炎に焼かれて残るものなど、ただの炭化しかけた繊維、灰の塊にすぎぬわ。

ニャモ

でも掃除番の人は、捨てたら呪われそうとか、誰かの大事な秘密かもって思っちゃうんだニャ。

ルルル

ふん、人間界の者もよく過去の記憶だの思い出の品だのを後生大事に抱え込むが、実に滑稽じゃ。燃やそうとした時点で、主にとっては不要になった証拠であろうが。

ニャモ

捨てきれずに暖炉に放り込んだからこそ、中途半端に残っちゃったのかもしれないニャ。

ルルル

ならば余計に始末が悪いな。燃やし尽くす覚悟もなく、かといって手元に残す勇気もなかった。その中途半端な弱さが、紙の端切れにしがみついておるだけじゃ。

ニャモ

うわ、手厳しいニャ……。じゃあ、全部まとめて燃えるゴミの日に出すのが正解ニャ?

ルルル

……まあ、待て。そう急くな。

ニャモ

ん? どうしたニャ?

ルルル

その掃除番、灰の中に手を入れて、指先を汚しながら一枚ずつ拾い上げておるのじゃろう?

ニャモ

箒を止めて迷ってるって書いてあるから、きっとそうニャ。

ルルル

……熱くも冷たくもない、温もりだけが残った灰の中からな。他人の捨て去った残骸を、わざわざ見届けてやっておるわけじゃ。

ニャモ

なんだかんだで、放っておけない優しい性格なんだニャ。

ルルル

か、勘違いするでない! 職務怠慢を褒めておるわけではないぞ! ただ……そうさな、燃え盛る炎など誰の目にも派手に見えるが、本当に手触りが残るのは火が消えた後じゃ。

ニャモ

炎より、残った灰の方に価値があるってことかニャ?

ルルル

激しい情熱など一過性の幻にすぎぬ。だが、すべてが焼き尽くされた後に残るわずかな温もりや、焦げ跡……それこそが、その者が確かに生きて迷ったという確かな輪郭なのじゃ。

ニャモ

おお……今の言葉、なんだかすごく沁みるニャ。領民のことをちゃんと見てるニャ。

ルルル

なっ……! べ、別にあやつの肩を持ったわけではない! 城の煤払いが滞るとわらわの喉が痛むから、早く片付けさせたいだけじゃ!

ニャモ

はいはい、そういうことにしておくニャ😼

ルルル

まったく! よいか煤まみれの爪よ。迷うくらいなら、その手紙を無理に読むな。ただの手触りのある灰として、土に還してやれ。消え去った炎を惜しむより、冷めゆく温もりを静かに土に埋める方が、よほど誠実というものじゃ。

ニャモ

いい答えが出たニャ。掃除番さんもこれで迷わず箒を動かせそうニャ。……さて、次のお便りにいくニャ。

ニャモ

もう1通届いてるニャ。ラジオネーム・ヨミさんからだニャ。

ルルル

む、ヨミか。あの女、また妙な報告でも寄越してきたのか?

ニャモ

読むニャ。『ルルル、ニャモ、夜の調子はどうだい。こっちは街の裏通りで相変わらず客の運命の巡りを眺めているよ。人は皆、星の配置通りに転がっているだけなのに、どうしてあんなに一喜一憂できるのかねえ。ところで、そっちの谷底で採れる黒水晶、今度あたしの占盤用に一つ見繕っておいてくれないかい。あそこの冷たい鉱石は星の光をよく吸うからね』……とのことニャ。

ルルル

わらわを何だと思っておるのじゃ、あの占い師は! わらわは魔界を統べる姫であって、石拾いの使い走りではないぞ!

ニャモ

でもヨミの頼みだし、黒水晶なら城の裏庭の崖にいくらでも転がってるニャ。

ルルル

そういう問題ではない! まったく、運命の因果などと醒めた顔をしておきながら、道具の手入れだけは一人前にこだわる奴め。

ニャモ

断る返事を出しておくかニャ?

ルルル

……拾わぬとは言っておらん! 欠けのない極上のやつを、ニャモ、お主が拾って箱に詰めておけ。ついでに重たい呪いでもかけて送りつけてやるわ。

ニャモ

結局ちゃんと選んであげるんだニャ。ルルルは本当に頼まれると断れないニャ〜🐾

ルルル

黙れ毛玉! 余計な口を利くとお主の尻尾の毛を黒水晶で梳いてやるぞ!

ニャモ

ひっ、それは痛そうだから勘弁ニャ! ……そろそろお別れの時間だニャ。

ルルル

ふん、今宵もくだらぬ話で時間を溶かしてしもうたわ。

ニャモ

でも退屈しのぎにはちょうどよかったニャ。

ルルル

今宵はここまでじゃ。次も良き暇つぶしを送ってくるがよいぞ。

ニャモ

またニャ〜🐾

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