紐の結び方
燈、その荷物の紐、引っ張ったらすぐ解ける結び目になってるニャ。持ち上げた瞬間に底が抜けるニャ🐾
あ、本当だな。本を何冊かまとめただけなのだけど、輪っかを作って通すうちに、どこを引けばいいのか分からなくなってしまったのね。
解くニャ。オレが崩れない固結びのやり方を教えてやるニャ。端っこを二本、手前で交差させるニャ。
交差だね。右の紐を、左の紐の上に重ねてみるよ。これで合っているのかな。
合ってるニャ。そしたら上になった方の紐を、下からくぐらせて一回キュッと締めるニャ。まだ仮止めだニャ。
下からくぐらせて、キュッと引くね。でもこの紐、麻でできているから少し毛羽立っていて、指先に当たる感触がなんとも言えないな。昔の荷造りはみんなこうだったのかな。
質感の話はいいから手を動かすニャ。次は二回目ニャ。ここが大事ニャ。さっき上に重ねた紐を、もう一度上に重ねるニャ。
さっき上に重ねた方を、もう一度上に……あれ、どっちが上にあった紐だったか、両手で持ったら見分けがつかなくなってしまったよ。
右から出てるやつが、さっき上を走ってた紐ニャ。よく見るニャ。左の紐の上にかぶせて、また輪っかの中に通すニャ。
こうして形を固定しようとするほど、最初の状態が曖昧になっていくのは不思議なものだね。人間の記憶も、後から何度も整え直すうちに、どれが最初の端っこだったのか見失ってしまうのかもしれない。
記憶はどうでもいいから、紐を輪っかに通すニャ。逆から通すと縦結びになって強度が落ちるニャ😾
縦結びだと、どうして強度が落ちてしまうのだろう。縦でも横でも、摩擦の力は同じように働く気がするのだけど。
引っ張られた時に結び目が回って緩むからだニャ。横に揃っていれば、引けば引くほど締まるニャ。理屈は後でいいから、通すニャ。
分かったよ。ここをこうして通して……えい。どうかな、ニャモ。ぎゅっと締めてみたのだけど。
……縦になってるニャ。見事に縦結びニャ🐾
本当だ。結び目がすっと縦を向いているね。これはこれで、整っていて綺麗に見えるのだけど、だめなのかな。
だめニャ。持ち上げたら結び目が横に滑るニャ。ほら、指で押したらすぐほどけたニャ。最初からやり直しニャ。
本当だ、あっさり解けてしまったよ。ほどけやすい結び方にも、それなりの役割がありそうだけど、運ぶ時には困るものね。
そうニャ。目的は本を運ぶことニャ。もう一回、右を上にしてくぐらせるニャ。今度はオレが見張ってるニャ。
頼もしいね。右を上にして、くぐらせて、一度締める。次は……また右を上にして重ねるんだよ。
そうだニャ! そのまま輪っかにくぐらせて引くニャ。
通したよ。これで両端を同時に引けばいいのかな。せーの……できた。今度は横に結び目が並んでいるよ。
よし、ちゃんと固結びになったニャ。引っ張ってもビクともしないニャ🐾
本当だ、しっかり止まっているね。丁寧に教えてくれてありがとう、ニャモ。手順を知るだけで、紐一本でもこんなに頑丈になるものなんだね。
覚えたならいいニャ。でも、その本を運ぶ時は両手で下から抱えるニャ。紐の端だけつまんで歩くと、指が鬱血するニャ。
ふふ、最後まで見届けてくれるんだね。本を落として頁を傷めないように、ちゃんと抱えて運ぶよ。