ふたつの丸い石
ねえ、ニャモ。そこの棚のすみに、見慣れないものが置いてあるの。
ん、なんだニャ🐾 これ、昨日まではなかった気がするニャ。
そうなの。つるつるした灰色で、まったく同じ大きさと形の石がふたつ並んでいるのね。
本当にそっくりだニャ。まるで双子みたいだニャ🐾
でも、表面に細い溝が一本だけ入っているの。指で触ると、ほんの少しだけ温かい気がするのだと思う。
オレも触ってみるニャ🐾……本当だニャ、冷たくないニャ。どこかから落ちてきたのかなニャ。
誰かが忘れていったのかもしれないね。でも、この溝の向きが、時々変わっているような気がするの。
さっきは縦だったのに、今は横を向いているニャ🐾 勝手に動いてるニャ?
ふたりでじっと見ていたけれど、動く瞬間は見えなかったの。目を離したすきに向きを変えているのかもしれないな。
不思議だニャ。灯台のどこかから、転がってきただけかもしれないニャ🐾
そうかもしれないけれど、転がるにしてはあまりにも静かなのね。物言わぬものが姿を変えるとき、そこには人の見ていない時間の流れがあるのだと思う。
むずかしいことはわからないニャ。でも、壊れそうにはないニャ🐾
うん。削れたり割れたりしている様子もないの。手の中に収めると、なんだか不思議な重さがあるのだと思う。
オレの足より少し重いニャ🐾 中に何か詰まっているのかなニャ。
振ってみても、音は聞こえないのね。ただ、ふたつの石を近づけると、かすかに引き合うような感覚があるかもしれない。
くっつきはしないけど、寄り添いたがってるみたいだニャ🐾
そういうふうにも見えるね。理由がわからないものって、どうしてこんなに気になってしまうのかな。
判らないものは判らないままでいいニャ🐾 そのうち飽きるかもしれないニャ。
ふふ、ニャモの言う通りかもしれないね。でも、もう少しだけここで眺めていたいと思うの。
じゃあ、オレも隣にいるニャ🐾 一緒に見張るニャ。
ありがとう、ニャモ。この石たちが次にどこへ向かうのか、ゆっくり見守ってみようね。
任せるニャ🐾 ずっと見てたら、あくびが出そうだニャ。
ふたつの石も、もしかしたら僕たちの視線を待っているのかもしれないのだと思う。
かもしれないニャ🐾 とりあえず、夕方までここに置いておくニャ。