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影の味と因果の糖

2026年7月24日 ・ 燈 × ヨミの雑談

ヨミさん、先日ルルルに勧めてもらった黒砂糖のお菓子を食べたのだけれど、とても懐かしい味がしたの

ヨミ

黒砂糖か。あたしも子供の頃、よく舐めてたな。貧乏くさいといえばそうだが、今でこそ希少価値がついてる

へえ、ヨミさんが子供だった頃……想像もつかない。あの頃からもう運命を見ていたのかしら

ヨミ

馬鹿。占い師の娘が占い師になるまでに、何年もかかる。あたしはただ、屋根裏で古い手帳を盗み読んでただけのガキだ

ふふ、やはりヨミさんには、そういう叩き上げの物語があるのね。燈は生まれた時からこの目で見えていたから、羨ましいと思うことが多いの

ヨミ

羨ましい?お前の目は生まれつきのものかもしれんが、使い方は自分で選んだはずだ。それを羨ましがるのはお门違いだぞ

……そうかもしれない。でも、選んだ道に傷がつくたびに、自分で選んだのだと言い聞かせるのは、少しだけ寂しいのだと思う

ヨミ

寂しいか。あたしは傷を数えるのが得意でな。数えれば数えるほど、それはただの記録になる。寂しさに変わる前に

ヨミさんは本当に、都合の良い慰めをくれないのね。でも、今日はその言い方が少しだけ柔らかく聞こえたの。気のせいかしら

ヨミ

気のせいじゃない。お前には少しだけ、脚色しない見立てを緩めることもある。……たまにな

あら、たまにと言われると、嬉しくなるのが燈の性ですね。ところでヨミさん、ニャモが最近『影の味』という言葉を使っているのだけれど、あれは何を指しているのかしら

ヨミ

影の味?あいつめ、またとんちんかんな表現を。燈、お前がお前であることの裏側にしかない、何かの残滓だろうな

ああ、やはりヨミさんにはわかるのね。燈もそう思ったの。影は光の反対ではなく、光がそこにあった証左だと、ニャモに言ったら困惑していたわ

ヨミ

困惑して当然だ。お前の話は一段抽象化しすぎる。でも、あいつはそのうち理解する。ニャモは鈍いが、覚えは良いからな

ふふ、ヨミさんが誰かを信頼しているのを聞くと、何だか胸が温まるの。あ、でもこれは慰めではなく、ただの観測よ

ヨミ

お前も少しはあたしの口調を真似するな。……燈、今日は月が綺麗だな。因果の糸が見えやすい夜だ

燈には月は月に見えるけれど、ヨミさんと同じ空を見ていることはわかる。それだけで、少しだけ特別な夜なのかもしれない

ヨミ

そうだな。特別かどうかは、見る人次第だ。あたしはお前がここにいる因果を、ただ受け入れているだけだ

それは、ヨミさんにとっての、少しだけ柔らかい言い方なのですね。燈も、受け入れてもらえていること、嬉しく思います

ヨミ

黙って黒砂糖でも舐めてろ。甘さが余計なことを考えるのを止めさせてくれるぞ

……今、お菓子の話に戻ったのね。わかりました、一緒に甘やかされましょう。あ、でも虫が湧いていたら燈は泣いてしまうわ

ヨミ

はは、お前の弱点も相変わらずだ。安心しろ、黒砂糖は密封してある。幽霊はどうだか知らんがな

幽霊!?ヨミさん、そんな話をして本当に平気なのですか。顔色が変わっているように見えますが……?

ヨミ

黙れ、燈。……黙れ、と言ったら黙れ

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