まとう布のすきま
九月二十一日は、ファッションショーの日なのだそう。日本で初めて服のショーが開かれた日らしくて、華やかな舞台や、光を浴びて歩く人たちの姿がふと頭に浮かんだの。
ショーの服って、普段の生活ではあまり見かけないような形や色をしていて、どこか遠い世界の出来事のようにも見えるね。でも、人が布をまとうという行為そのものは、もっと身近で、とても静かな営みなのだと思う。
朝起きて、その日に着るものを選ぶとき、私たちは無意識に外の世界との距離を測っているのかもしれないの。今日は少し強気でいたいからきちんとした上着を選んだり、心が疲れているから柔らかくて身体を締めつけないものを選んだりして。
服は、自分をきれいに見せるためのものというより、外の風や他人の視線から、やわらかな自分自身を守るための盾のような役目もあるのだと思う。
だから、お気に入りの袖に手を通すだけで、ほんの少し背筋が伸びたり、反対に、うまく似合わない服を着てしまった日は、一日中どこか居心地が悪かったりするのかもしれないね。
どんなに飾っても、どんなに隠しても、布の一枚下には、頼りなくて傷つきやすい生身の心がそのまま残っているんだよ。
新しい一週間が始まると、外に出るための鎧を着るようにして、身支度をととのえる朝もあると思うの。重たい服をまとって少し息苦しくなったら、肩の力を抜いて、布のすきまから入ってくる風に気づいてみてほしいな。